05.存在意義




世の中には、不思議という物がゴロゴロしているものだ。

ロイは錬金術師という立場から、非科学的なことは信じない主義だ。
しかし、どうしても不可解でならないモノがある。

(アレは…何だ。)




「大佐、大佐!現世に戻ってきてください。」
「…っ、あぁ、ホークアイ中尉。」

見上げると、呆れた顔をしていた。
そして無言で、目の前にある書類の山に視線を注ぐ。

(あぁっ、無言のプレッシャーが怖い!)

「仕事を。」
「中尉。私は今、無性に気になっている事がある。」
「…何です。」

嫌そうな顔をしながら問う彼女に、ウムと一つ頷いた。

「不可解な形状と、その必要性だ。気になって夜も眠れん!鋼のは、いつ来るんだ!?」
「偶然にも今日の夕方、こちらに帰って来ると、先程連絡がありました。」
「好都合。本人を直接確かめてやる!」

ホークアイはエドワード絡みと分かった途端、諦めたらしい。
いつものことだから。
ただ彼女は、ペンを持つ気配の無い上司に向かって銃を構えただけだった。










「鋼の、前々から気になっていたんだがね。」
「何だよ。っていうか、アンタ、仕事は?」
「ツケにしてきた!」
「すんな!」

帰って来て早々、資料室に篭ったエドワードを捕まえた。

(さぁ、今こそ謎を解明するときだ!)

本棚に向かい、背を向けているエドワードに忍び寄り。

バンッ!

「!?」

エドワードの顔の横に手をついて、そのまま顔を近づける。
驚いたような金の瞳とかち合った。

「な、な、なんだよ!何の冗談っ!?」

慌てふためくエドワードのことなど構いもせず、ロイは腰を屈めて、ゆっくりと確実にターゲットに近づいていく。

「こら、暴れるな。」
「あ、暴れるに決まってるだろ!?ちょっ、おい!大佐!」
「やっと…」
「…っ!」











ムギュ。









「ふへ…?」

エドワードの予想とは、全く別のところに感触。
目の前にあると思っていたロイの顔は、そこには無く。
視線的には、ロイの胸辺りが映っている。

「ふむ、針金のように固いわけではないのだな。ならば、どうして重力に逆らっているんだ…?」
「…大佐。」
「超強力な癖毛にしたって、不自然すぎる。この1束だけ成分が異なるとか…。」
「たーいーさっ!!何なんだ、これは!」
「え?」

エドワードは、キッと睨み上げて、頭上の手を払い除けた。
そう。
先程から、ロイが弄くり倒して───、いや、観察しているのは。

「何って、君のアンテナの観察だが?先日から気になって仕方がなくてね。」
「ふざけんなーっ!!つか、んな事気にする前に仕事しろっ!!」
「鋼の、やはりこれは身長をサバ読むためかい?それとも何かの電波を受信…」
「んな訳あるかーっ!!」

ゴッという鈍い音。
相変わらず、キレのあるアッパーだった。

猫が毛を逆立てているかのようなエドワードを、地に沈んだロイが顎を摩りつつ見上げる。

「何だよ…。」

不機嫌そうにガンを飛ばす彼。
その顔が。

「何で顔が赤いんだ、鋼の?」
「!!」

言った瞬間、更にぱっと朱が広がる。
耳まで、真っ赤。

「こ、の、激ニブ大佐ー!アホ!無能!出てけーーーっ!!!!」
「な、何をそんなに怒ってるんだ!?」








**********************









「ぜぇ、はぁ、あんの馬鹿大佐…。」

なんとかロイを追い出して、エドワードは扉の前で胸に手を当てる。

「あーもー。静まれ!俺の心臓!」




アンテナの存在意義なんて、あるわけないけど。
(ただのお茶目な癖毛ですー。タネも仕掛けもございませんー。)




…ロイの興味を引いたんなら、それでいいんじゃねぇの。



とか。


結構、本気で考えてしまった自分に、ちょっと自己嫌悪するエドワードだった。















その後、事ある毎に、エドワードのアンテナについて口論する二人の姿が目撃されたとか。



end.


あとがき
HAHAHA☆すみません、はっちゃけ過ぎましたー!!(土下座)
なんか、訳が分からない。中途半端なギャグで。
しかも、エドロイエドちっく!!(笑)
え?ロイエドじゃないのかって?どっちでもいいです。
私、ロイエドでもエドロイでも、どっちでもイけます。(ザ☆雑食)でも、どっちかっていうと、エドロイ好き。(マイナー思考人間)
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